−地方別・お月見の風習
◆北海道・東北・関東地方
北海道や東北地方では,お月見の夜には里芋や豆を供える地域が多く見られます。かつては,お月見のための供えものはどこの畑からとったとしてもとがめられないと言われていました。このため,子供たちが鈎をつけた竹竿などで供えものの月見団子や里芋などをとってまわる習情もあったようです。こういったならわしは北海道や東北地方にとどまらず,全国的に広い地域で行われていました。また,人にとられればとられるほど収穫があったと言われることもあり,収穫の祭りの性質を色濃く残している地方もあるようです。
関東地方の群馬県では,ススキなどの秋の七草とともに,「おてまる」と呼ばれる団子を供える風習が残っています。
◆北陸・甲信・東海・近畿地方
愛知県名古屋市守山区では,旧暦の七月二十二日と二十三日を,二十二夜・二十三夜としています。この夜の月は一年でいちばんご利益があると言われ,お参りを行うこともあるようです。病人が出ると千度参りや「お立ち待ち」を行いますが,この二十二夜や二十三夜に拝むと病気が軽くなるという言い伝えも残っています。
また,大阪府堺市や河内長野市などの大阪府南部では,お月見に供える里芋に穴をあけ,この穴から月をのぞいて願いごとをするという習慣もあるようです。
◆中国・四国・九州・沖縄地方
岡山市などでは,十五歳を迎えた女の子が,月明かりの下で針に糸を通してぬか袋を縫うと,裁縫が上達するという言い伝えがあります。
また,かつては四国地方を中心に広い地域で,うるう年に十三個の月見団子を供えることがしきたりになっていました。現在でも,都心部を離れるとこういった古い慣習が残っている地域が多くあります。
九州地方では,十五夜に綱引きを行うことがかなり広い範囲で慣習化していました。とくに熊本県の南部や鹿児島県では,とぐろ状に巻いた綱の中心に十五歳になった子供たちが入り,月を拝む行事があります。そのあとで綱引きや相撲なども行うことがあるようです。
沖縄県の十五夜の料理は,餅に赤豆をつけた「ふちゃぎ餅」が一般的です。ただし,この餅はお月見の供えものにするというよりも,仏壇や火の神に供えるほうが中心。今年の豊作に感謝して,また来年の豊作を祈願する行事と言えるでしょう。